伊勢エビの死亡の原因

1月になると海水温度が11度と1年間で最低の温度まで下がります。

ここまで海水温が下がると、伊勢エビはほとんど活動しなくなります。

海の中ならより温度の安定した深い海底に移動しますが

狭い生け簀の中ではそうはいきません。そのまま低い温度が

続くと餌も食べなくなり段々弱っていきます。また、注文が有るとイケスの水を

抜いて伊勢エビを選びます。このとき 伊勢エビは冷たい外気にさらされて

よけい弱ります。この時期伊勢エビを選ぶために1度水を抜くと数匹の

伊勢エビが死ぬと業者間では言います。だからいつも水を抜くイケス

しばらくは抜かないイケスと分けています。いつも注文がある大きさは

カゴに入れて分けて置くのですが、狭いカゴの中に入れて置くと

広いイケスより死にやすくなるので、これも考え物です。

仕入れの面でも寒さに遭います。漁師さんが海から刺し網を

上げて船の上に置きます。網に包まれているとはいえ、朝早くの海の上の

冷たい風にさらされているわけです。これを港に帰ってから網から外し

船のカメに入れるまで、かなりの時間寒さにあって弱っているわけです。

人間で言えば風邪をひいた様になるのでしょうか。

元が弱ければイケスに入れても死にやすくなります。

サザエですが、今年1月の一番寒い日の朝10時頃。軽トラの荷台に

カゴに入れたサザエを載せ厚いカバーを被せ20分位の場所に

運んだ時寒さで凍え、サザエは身を出して死んだようになっていました。

時間が短かったので海水に入れたらしばらくして動き出しました。

伊勢エビの場合はサザエより寒さに弱いです。

この時期伊勢エビの配達は必ず発泡スチロールに海水を入れその中に

伊勢エビを入れて配達します。ビニール袋に入れて配達すると

お客の所につく頃には死んでいたなんて事もあります。

宅配便で送るときは、イケスから上げるとすぐに木毛(もくもう  木を糸のように削ったもの)

を入れた発砲スチロールに入れます。これはイケス建物の中で行い

冷たい風にあてない様にします。

温度を15度〜16度に上げた循環水槽に入れても寒さに遭った伊勢エビは

段々と死んでいきます。

死んだ海老は、他の海老から触覚 脚などかじられます。

あと脱皮の時力つきて死ぬ物もあります。